今月は、湯村エリアを歩いています。
今回伺ったのは、「杖の湯跡」という場所です。
写真でもわかるように、お湯は沸いていません。
小ぢんまりとした、裏庭のような場所ですが…
甲府市教育委員会 歴史文化財課の金子誠司さんに
お話を伺いました。
杖の湯は、弘法大師が開いたといわれています。
平安期に、湯村に降り立った際に、
道の真ん中に大きな石があり、旅人が困っていました。
そこで呪文を唱えながら、その石を杖で寄せると温泉が湧いた、
という伝説の場所が、ここなのです。
杖の湯の近く、表通りに面した場所には、
旅館「弘法湯」があります。渡り廊下の風情がステキです。
こちらでは、杖の湯が湧き出ているとされる岩風呂があり、
脱衣場には、弘法大師が祀られているそうですよ。
さて、湯村温泉エリアには、他にも伝説があります。
「鷲の湯」は、
その昔、鷲が萱草の中に姿を隠していましたが、
それが7日続いた後、ぱったり来なくなってしまったそうです。
村人が見に行ったところ、そこには湯気が上がっていて、
掘り返すと、熱いお湯が沸いたそうです。
「谷の湯」は、臨済宗建長寺派開祖の大覚禅師が
夢のお告げの通り、湯村にやってきて温泉を見つけ、
村人がその温泉を使っていたそうです。
谷の湯には、農耕馬の温泉もあったそう。
私は、湯村温泉では、馬もお湯に浸かっていた話が、
とても好きです。
なんだか、ほっこりする…
さて、湯村温泉。
江戸時代からは、庶民や文人墨客も愛した温泉です。
湯村八景といって、湯村の景色が綺麗なところを
和歌にして詠むということが行われていました。
こうやって写真を撮ってみても、
やはり風情がありますね。
時代や見ていた景色は違えども、
古くから旅の人にも愛されていたことが分かります。
また来週も、てくてくします。