湯村エリアをてくてくしている、今月の
「てくてくこうふ」
今回は、松元寺へやって来ました。
甲府市教育委員会 歴史文化財課の金子 誠司さんに
お話を伺っていきます。
先週にお話しを伺った、杖の湯の隣というか、
弘法湯の斜め向かいにあるお寺です。
なだらかなな坂を上ると、本堂があります。
お寺の規模としては、そんなに大きくありませんが、
静かで、ゆったりとした時間が流れているような
お寺でした。
こちらの本尊は体の悪い部分を撫でると
身代わりになってくれるという
「身代わり観音」ですが、行方不明になっています。
位置関係は、こんな感じ。
左手奥が、弘法湯さんです。
松元寺を開いたのは、大野主水という人物。
山梨市で生まれ、武田家の財政を担当する蔵前衆として
仕えました。
武田家滅亡の後は、徳川家に仕えています。
大野主水が、松元寺を開いた理由は、
この近くにある湯谷神社を守るためと言われています。
当時は、ここで湯谷神社の祭礼も行っていましたが、
明治時代の神仏分離令により別れたそうです。
さて、湯谷神社ですが、
こちらは、「谷の湯」の温泉が出た際に、湯の島の守り神として
「湯権現」お迎えしたことにはじまります。
先週に、ちょっとご紹介した、「鷲の湯」伝説から、
鷲を山の神に見立てて、湯権現として祀っていたそうです。
石鳥居の「大権現」の文字は、
1643年に甲斐の国に流された、良純親王の筆によるもの
という説もあります。
歴史を感じる見どころもありますが、
ちょっと怖い伝説もありました。
先ほども、ご紹介しましたが、湯谷神社は、
鷲を山の神とみて、湯権現に祀っていました。
昔は、毎年大晦日の夜12時から元旦の朝6時までは、
山の神が入浴するので、人は入浴してはいけないという
言い伝えがあったそうです。
しかし、そのタブーを破って湯に入った男は、
翌朝、湯谷神社鳥居手前の大杉にはりつけになって
死んでいたといいます。
湯谷神社には、今も大きな杉がありますので、
なんだかちょっと怖かったです…。
言い伝えって、楽しいものだけではなくて、
戒めの意味も込めた、ちょっと怖いものもあるんだなと思いました。
でも、楽しいことも、怖いことも、
人がそこで暮らしてきたからこそ
出てくるものなんでしょうね。
そんなに広くはない湯村エリアですが、
歴史を感じたり、伝説を聞いたりできる場所が、
たくさんあったのが、面白かったです。
さて、来週は湯村エリア完結編。
来週もまた、てくてくします。