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2017年8月

2017年8月31日 (木)

9月3日放送 第十八回は山本周五郎 作「とうちゃん」

Dsc_5675115(撮影:Takegon)
『 パナホーム山梨 presents SUNSET THEATER 』

ご案内役の 小川もこ です。 

毎週、日曜日の17:30~18:00 FM FUJIにてオンエアー
サンセットタイムにお届けする この番組は、
私、小川もこ が 日本文学の名作をセレクトし 朗読させていただきます。

第十八回放送は 9月 3日。今回 は、
山本周五郎が書きました、「とうちゃんです。

山本周五郎は、サンセットシアター二度目の登場ですね。
山梨県は大月市出身の周五郎、今年が没後五十周年となりましたが、

「樅の木は残った」や「赤髭 診療譚」など数々のベストセラーを持つ、日本を代表する作家の1人です。

今回は、昭和の30年代頃の貧しい市井の人々を描いた小説です。
『季節のない街』という短編小説集に収められていますが、元々は、
1962年(昭和37年)の4月1日から10月1日まで朝日新聞に連載され、
単行本は同じ年に文藝春秋新社から、文庫本は1970年に新潮社から刊行され、
ロングセラーとなっている短編集です。51qsy8gygpl_sx342_bo1204203200_ この『季節のない街』は、
1970年に公開された黒澤 明監督の映画『どですかでん』の原作ともなってますね。

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私は、先日、甲府の山梨県立近代文学館へ「山本周五郎 歿後50年 特別展」を訪れた際、
近代文学館のショップで 6冊の山本周五郎の短編集を買い求めたのですが、
その中の一冊で、とても心打たれてしまいました。

それは、「風の吹溜まりに 塵芥(ちり あくた)が集まるようにできた貧民街」を舞台に、
様々な人間が七転八倒しながらも、ぎりぎりの生活を乗り越えようとする、オムニバスストーリー。

この「街」に暮らす人々は、貧乏だけれど、哀しいほどに 滑稽で せつない日々の暮らしの中から
やがて、人間の本質的な部分、大切なものが見えてくる、そんな話ばかりです。

その中の一編である『とうちゃん』。
5人の子どもの父親で、もうすぐ6人目の子どもも産まれてくる 主人公の良さん。
彼の生き方に、
あなたは、どんなことを感じるでしょうか。


ご感想を お待ちしています。

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sunset@fmfuji.jp
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東京や関東近郊の皆様は78.6MHz、甲府は83.0MHzにチューニングして、
その他 全国の皆様は、LISMO WAVEや radiko.jpプレミアムでお楽しみくださいね〜♪

スマホやパソコンで聴けるアプリradiko.jpプレミアムでは、タイムフリー機能で、聴き逃しても 1週間以内なら いつでも聴くことが出来ます。

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【 頂戴した御感想 】

オガッチさん:
お恥ずかしながら、山本周五郎 作品は このサンセット・シアターで初めて触れさせていただきました。
「とうちゃん」は、とても人間味あふれる物語ですね。
人間の幸せは富やお金じゃない、ということを感じさせてくれます。
周五郎の言葉に、
「この世で生きていくということは、損得勘定じゃぁない。短い一生なんだ。
自分の生きたいように生きるほうがいい」とありますが、まさにその通りだと思います。

タケゴンさん:
タイムフリーで聴きました。
「とうちゃん」は いい人なんだけれど、かあちゃんがダメダメで感想に困ります。
が、ボクが生まれる少し前の時代、昭和の前半は 今のモラルとは違ったモラルがあったのだと思います。
ここでのエピソードは とてもダイナミックですが、
ボクの両親は比較的 普通な人たちで、ボクはもっと普通な人に育ちました。
複雑な家庭環境の中で育った両親なので、子どもは普通に育てたかったのかもしれません。
放送を聴いて、父ちゃんと母ちゃんの子どもで良かったと しみじみしています。 




2017年8月24日 (木)

8月27日放送 第十七回は夏目漱石 作「夢十夜」から第六夜と第七夜

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第十七回放送は8月27日。今回 は、
夏目漱石が書きました、「夢十夜」から、第六夜と第七夜 です。

『夢十夜』は 10の夢語りを並べたもので、明治41年、『朝日新聞』に10回にわたって連載されました。

新聞連載の1回分ですから、第一夜から、第十夜まで、短い夢物語ばかり。
「こんな夢を見た」という、有名な書き出しで始まるのは、
実は、第一夜、二夜,三夜,五夜だけで、あとの6つの話は、普通の 書き出しです。

以前に、第一夜と第三夜をお届けしましたが、
今日は、第六夜と、第七夜を朗読します。

第六夜に登場するのは、運慶
平安時代末期から鎌倉時代初期に活動した希代の天才仏師ですね。
運慶の彫った仏像は、男性的な力強い表情と体つきが特徴的で、まるで生きているかのよう。

実は、この秋、東京で運慶の作品が鑑賞できるんですよ。

9月26日から11月26日まで、東京上野の「東京国立博物館」において、
史上最大の運慶展が開催されます。あなたも夏目漱石気分で、運慶の彫りっぷりを眺めに出かけてみてはいかがでしょう。


YouTube: 特別展「運慶」紹介映像


そして、大きな客船に乗っての第七夜
黒い煙と、黒い波。真っ暗な海、そこは、後悔と恐怖を感じ続ける世界。
ここでの描写は、明治33年、漱石がドイツ汽船プロイセン号で英国留学に向かった時の体験が基礎にあるとされています。あるいは、パリで他の留学生と別れ、ひとりぼっちで夜のイギリス海峡を渡った時の心中が反映しているとも。


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2017年8月19日 (土)

8月20日放送 第十六回は芥川龍之介 作「蜜柑」

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第十六回放送は8月20日。今回 取り上げるのは、
大正期に活躍した作家・芥川龍之介が書きました、「蜜柑です。

芥川作品は、二度目の登場ですね。

芥川竜之介の短編小説で、初めて掲載されたのは、1919(大正8)年「新潮」の誌上で、全2章構成の「私の出遇つた事」の「一」として発表されました。
小学校の国語教材としても使われていますね。 

芥川の私小説のように書かれていますが、実際、本人の体験を書いたもので、このエピソードは1916年(24歳)当時のものだとか。

 大学卒業後、芥川は横須賀に勤めつつ、鎌倉に下宿していました。その通勤に横須賀線を利用していたんですね。

短い時間の中で 次々と描写される プラットフォームと車内の様子、目の前の少女、夕刊の記事、そして汽車は、トンネルの中へ。。。

さぁ、小説の中で、どんな 鮮やかな蜜柑の色が浮かびあがるのでしょう。
サンセット・シアターでお楽しみくださいね〜
Fullsizerender

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【 追記 】

御感想です。

私の中で、山と海が見える オレンジ色に染まった風景を想像しながら聴いていました。
13,4歳の女の子といえば、まだ中学生。
現在の何でも揃っている日本では考えられない当時(大正時代)のなかでも、家が貧しかったのでしょうね。
勉強も遊びもしたい年頃なのに、家族のために奉公に行くのでしょうから。
姉妹の仲が良く、面倒見の良いお姉さん。
決して裕福ではない環境の中でも、弟達に愛情と思いやりをみせた場面に、涙腺ウルウルです。
とても温かな ぬくもりを感じました。
作者の芥川さん、他人を見た目で判断した自身を恥じながら、忘れてはいけない大切な心に
胸が熱くなる思いだったのではないかと思いました。
これからも、もこさんの朗読、楽しみにしています。
千葉県船橋市 あっこちゃん

イライラしていた気分が癒された、とってもよい話でした。
サッキー

2017年8月12日 (土)

8月13日放送 第十五回は 田中貢太郎 作『雀が森の怪異』

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第十五回放送は8月13日。今回 取り上げるのは、
田中貢太郎が書きました、「雀が森の怪異です。

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田中貢太郎は、1880年(明治13年)生まれ、1941年(昭和16年)没の高知市出身の作家で、漢学塾に学び、代用教員、高知実業新聞社の記者を経たのち上京。大町桂月、田山花袋、田岡嶺雲に師事しました。
明治四十二年、嶺雲の『明治叛臣伝』の執筆に協力したのを機会に、やがて『中央公論』の「説苑(ぜいえん)」欄に情話物、怪談話などを掲載するようになります。作品は紀行文・随想、情話物、怪談・奇談などからなり、代表作には『田中貢太郎見聞録』『旋風時代』『日本怪談全集』『支那怪談全集』などがあげられます。
とりわけ怪談物は蒐集と再著作に努め、総数は約五百編に及んでいます。

今回の作品は、岐阜出身の青年が宮城県仙台の「雀が森」で遭遇した不思議な話。
1934年(昭和9年)に改造社から出版された、「日本怪談全集 第一巻」に収められています。

Unknown
お盆にお届けする、ちょっと怖い話。
どうぞじっくりと お楽しみくださいね。

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2017年8月 6日 (日)

8月6日放送 第十四回は太宰 治 作『貨幣』

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第十四回放送は8月 6日。今回 取り上げるのは、
太宰 治が書きました、「貨幣です。

太宰 だざいおさむ。本名、津島 修治(つしま しゅうじ)。Dazai

この番組で彼の作品を取り上げるのも3回目ですね。

今回 朗読する小説「貨幣」は、「婦人朝日」の1946年(昭和21年)2月号に掲載されたものです。

" 異国語においては、名詞にそれぞれ男女の性別あり。
 然して、貨幣を女性名詞とす。"

こんな書き出しで始まる作品で、当時 使用されていた貨幣、100円紙幣を擬人化し、
女性の一人称で モノローグで語られていくのは、まさにドラマ人間模様。

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太宰の優しいまなざしによって描かれる 底辺の人間たち。
太宰自身、東京大空襲と甲府空襲、空襲によって二度も自宅を焼失するという経験の持ち主ですが、
戦時下、極限状態での 一人の女性の行動を描写する 貨幣の語り口に、
なんだか 心が温かくなる作品です。

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