7月30日放送 第十三回は 高橋克彦作『寝るなの座敷』
『 パナホーム山梨 presents SUNSET THEATER 』
ご案内役の 小川もこ です。
毎週、日曜日の17:30~18:00 FM FUJIにてオンエアー
サンセットタイムにお届けする この番組は、
私、小川もこ が 日本文学の名作をセレクトし 朗読させていただきます。
第十三回放送は7月30日。今回 取り上げるのは、
高橋克彦さんが書きました、「寝るなの座敷」です。
高橋克彦さんは
1947年、岩手県生まれ。早稲田大学商学部卒。
浮世絵研究家として美術館に勤務した後、執筆活動に入られました。
江戸時代に対する深い知識を生かした時代物の推理小説の他、怪奇小説、SF、ミステリーなどを幅広く手がけ、1983年『写楽殺人事件』で江戸川乱歩賞を受賞。
その後、1986年『総門谷』で吉川英治文学新人賞、1987年『北斎殺人事件』で日本推理作家協会賞、
1992年『緋い記憶』で直木賞を受賞。
著書に『広重殺人事件』『竜の柩』NHK大河ドラマの原作となった『炎立つ』など多数。
浮世絵研究家として、『浮世絵鑑賞事典』を著していらっしゃいます。
今回、朗読させていただく作品「寝るなの座敷」は、1988年7月に実業之日本社から発行された「星の塔」に収められているもので、
その後、
新芸術社 刊「恐怖小説コレクション 3 夢」
文芸春秋刊、文春文庫「星の塔」
中央公論新社 刊『高橋克彦特選短篇集』などに収められている短編です。
数年前、私が「東北出身の作家たち」 というテーマで語りの公演をおこなうことになったとき、
高橋克彦さんの 上記の3冊の講談社刊 自選短編集を読んだ中から ぜひこれを語ってみたい!と、惚れ込んだ作品です。
遠野物語をおばあさんが語るというシーンがあって、花巻・遠野のあたりの言葉を取材しに、
遠野まで旅したものでした。
遠野の方言は、柔らかで優しい中に味があって。
始まりの言葉「むかぁし、あったずもな」と、終わりの言葉「どんどはれ」が温かいです
私の東北弁は、宮城県の訛りが根本にあるので、細かいニュアンスがかなり違うかと思います。
おおめに見てくださいね。
公演の時は、音楽ゲストに JAZZピアニスト 立石一海さんをお迎えし、
それぞれの話に合わせ、全くオリジナルの曲を作曲、生演奏していただきました。
その時の音源を、今回は使わせていただきましたので、
いつものサンセットシアターとは いささか趣の違う世界になっているかもしれません。
東京から遠野へ取材旅行でやってきたイラストレーターの男。
「昔話村」で出逢った不思議な少女、日向子(ひなこ)。
「市立博物館」で知り合った知的な美人の倭夏子(わかこ)。
三人が織りなしていく、不思議で ちょっぴり怖い物語。
あなたのご感想をお待ちしています。
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sunset@fmfuji.jp
へ どうぞ。
日曜日の午後。17:30~18:00 FM FUJIにてオンエアー。
東京や関東近郊の皆様は78.6MHz、甲府は83.0MHzにチューニングして、
その他 全国の皆様は、LISMO WAVEや radiko.jpプレミアムでお楽しみくださいね〜♪
スマホやパソコンで聴けるアプリradiko.jpプレミアムでは、タイムフリー機能で、聴き逃しても 1週間以内なら いつでも聴くことが出来ます。
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【 追記 】
今回は たくさんの御感想を頂戴しました。
その一部を掲載させてもらいますね。
チャッピー
もこさん 今回も女優でしたね~
あまりにリアルで、終盤、ゾゾッとし通しでした。
まさにこの暑い夏にぴったりの作品でした~♪
でも、こわいんだけど どこか ほんわか温かい感じがして…
時折ちりばめられる方言のせいかもしれませんし、
作家である高橋さんのお人柄がうつしだされているのかもしれませんね。
高橋さんの作品にふれたのは今回が初めてでしたが、
とても魅力的だったので、他の作品を読ませていただこうと思います。
魅力的と言えば、立石さんのピアノも…ピアノによって不気味さが倍増してました!
いろいろな文学作品を身近にしてくれるこの番組。
これからも楽しみにしています♪
タケゴン
寝るなの座敷に泊まったら…わたしなら眠れません。
物語の中で、民話には「女の恐い話が多い」とあって、
言われてみればそうだなと思いながら聞いていました。
このお話も、そういう流れになっていくのかとハラハラしましたが、
最後は、ホッとしました。
もこさんの「婆さん声」や、ピアノの伴奏の効果も手伝って、
それぞれの場面が見えるようでした。ほんわかとした聞了感です。
もとや
ちょっぴり怖い場面、あの座敷に泊まっている場面、
「座敷さまは合格点をくれるかなぁ」のお気楽なセリフからのジェットコースターのような急展開。
電球が消え、布団が持ち上がり、女が泣きながら壁を叩いているところとか…。
ピアノの演出もあるのか、ちょっぴりどころか、しっかり怖かったです。
しかし、もこさんの語り、すごいですね。「生唾を呑み込んだ」っていうセリフのところ、ゴクリという音が聞こえてきたようでした。
また、長い小説を番組に収まるようにアレンジしたとのこと、聴いてて全く
違和感を持たなかったのですが、そうですか。結末が微妙にアレンジされているんですね。原作を読みたくなってしまいました。
オルカ
会社の帰り道に、radikoのタイムフリーで聴きました。
夜道を歩きながら聴くのは、怖すぎました。
もこさんの日向子の声が少女そのもので、背筋がゾクゾクいたしました。
ラジオで日本文学を聴くという機会をつくっていただき、感謝です。
長く続く番組となりますように。
ともこもこもこ
遠野という町に興味を持ちました。
遠野の方言に温かみがあり、こわい話でも、どこか懐かしい気持ちになりました。
偶然出会った男と倭夏子が、迷子の日向子を心配し、一晩世話をする。
倭夏子から恐ろしい「寝るなの座敷」を聞いた男が、強がって大丈夫だと泊まる。私だったら怖くて逃げ出すだろうなぁ。
寝るなの座敷の夜は、ぞくっ、ハラハラしましたが、最後はホッと心が温かくなりました。
日向子は、男と倭夏子に幸せになってほしいのだろうなと。
座敷わらしが繋いだ出逢いが実っての幸せを願いました。
作者の高橋克彦さんは、北斎や写楽などの時代物小説を書かれているのですね。
この作品で、著者や 舞台の遠野に思いを馳せ、楽しむことが出来ました。
次回も楽しみにしています。
角ヨシ
いつも楽しく聴いています。今回は怖かったです。
今晩、思い出して寝られないんじゃないかと思うほど、怖かったです。
ピアノの効果音もあって、びくっと飛び上がりそうになった場面もありました。
立石さんのピアノが、物語にとても合っていました。
私、遠野出身の友達がいますが、彼女から時々でる方言に、遠野の言葉っていいなあと思っていました。もこさんの方言も、とても心地よくて、あったかい感じがしました。
最後、偶然泊まった宿で伴侶が決まってしまいそうな強引な終わり方でしたが、
原作の最後は違うとのこと、どんなふうに違うのでしょう。
サンセットシアターは、読んでいなかった本に興味を持たせてもらえます。
これからも色々紹介してくださいね。
ザッキー
登場人物が多いですが、もこさんの声の使い分け、さすがですね。
頭の中で、映像が浮かびあがります。
劇中劇の「サムトの婆」の老婆から、日向子の声まで、それぞれ別人物の、その年齢の声優が話しているようでした。
座敷童子が現実となった話なんですね。
主人公のイラストレーターの、座敷童子への怖いもの見たさと、倭夏子への ほのかな恋の期待がミックスされ、怖い物語が「どんどはれ」で締まるのがよかったです。
東北出身でないザッキーは、「座敷童子」は言葉として聞いたことはあったのですが、詳細は知りませんでした。
この機会に調べてみました。
「座敷童子」は、東北の歴史を読み解く大事なキーワードだったのですね。
さら
岩手県、遠野物語、座敷童子・・・
それだけで、もう、どきどきわくわくする内容でした。
遠野物語には憧れがあります。
何度か読もうとしたのですが、なかなか読み進めることが出来ず、
その味わいを知るには至っていません。
しかし、今回のお話で、間接的にですが、
遠野物語の世界を堪能できました。
おばあさんの方言の部分、しっかり聞かせていただけたので、
なおさら愉しませていただけました。