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2013年9月20日 (金)

親愛なるリスナーの皆様。 「もぎり・パンフ売り」です。 本欄ではコーナー直後に主(あるじ)が紹介致しましたフィルムの補足データやらを更新致しますデス。

「あるじ」が本日選んだフィルムは「用心棒」

Youjinbo

1961年(昭和36年)公開

監督・脚本:黒澤明によるオリジナル作品。

出演:三船敏郎 仲代達也 司洋子 東野英治郎 ほか

役者に惚れ込む事が無い、と言われた黒澤監督でありますが 「三船無くして黒澤は無く、黒澤無くして三船は無い」 …とまで言われた関係は1948年から1965年までの17年間、16作品に至っております。

ちなみに、そんな銀幕スターとスーパー監督、2人の関係性垣間見えるエピソードとして 1957年公開の「蜘蛛巣城」の撮影では、三船が全身に矢を浴び、ハリネズミになる最期のシーンで 黒澤監督は、カメラの横から遠景の三船めがけて本物の矢を射掛ける映像演出をします。 撮影終了後、三船が「俺を殺す気かっーー!」激怒し、後々、黒澤邸にショットガンを持って乗り込んだ… というエピソードは東宝の伝説だとか。

本作の舞台は上州の宿場町。対立する やくざ組織に用心棒として売り込む浪人・桑畑三十郎。 彼は巧みに二つの組織を相打ちに仕組んでいく…

そんなあらすじの娯楽活劇を今、普通に映像作品として楽しむ皆様に意外な「みどころ紹介」!

この作品で見られる「刀を振り回す殺陣(たて)」今では当たり前の演出です。 しかし本作以前の映画での殺陣は、舞台演出で使われた「チャンバラ劇」。 本作で三十郎は敵を2度切ります。これは「一度切ったくらいじゃ人は死なないだろ」 と、いう監督の表現への「こだわり」演出です。 また、刀で人を切った際の効果音(SE)の使用もこの作品が「元祖」! 黒澤監督はリアルな表現での殺陣をここで作り上げ、以降の映像作品が継いでおります。 しかし!仲代達也が演ずる「新田の卯乃助」はスコットランド製スカーフを巻いております。 ここは時代考証など振り返らない「人物キャラクター演出」のアイディアです。

カメラワークや編集も 今 観ると見慣れた感じですが、52年前に産みだされたアイディアと演技、堪能あれ!

また3年後にはイタリアでクリント・イーストウッドの知名度を上げる作品、 後に裁判となる本作の非公式リメイク映画「荒野の用心棒」が公開され、 「マカロニ・ウェスタン」というジャンルも生まれております。

さらに1992年作品「ボディガード」の作中、 映画館で映画を観ているシーンで上映されているのも「用心棒」です。

時代劇に西部劇の要素を取り込んだ娯楽活劇。「用心棒」。 桑畑三十郎が名前を変えて活躍する姉妹篇「椿三十郎」も是非どうぞ。

「用心棒」 ブルーレイとDVDでリリースされております。 ・・・ステキな映画と共に楽しい週末を・・・