道路に敷設された軌道をまるでバスに乗っているかのように移動することができる
路面電車にスポットを当てます。
まずは路面電車のお勉強。路面電車は名前の通り電力によって動きますが、
その前身は馬でした。
いわゆる馬車鉄道から時代を経て路面電車となるわけですが、
馬車鉄道は、道路上に敷かれた線路の上に車両を乗せ、それを馬が引っ張るというもの。
日本で初めて馬車鉄道が走ったのは東京。
1882年、明治15年に開業し、最初の運行は新橋—日本橋間でした。
さらに、東京の各地でも運行が始まり、
最盛期には車両の数は300、引っ張る馬は2000頭もいたとか。
やがて大阪や函館と、全国各地に馬車鉄道が開業していきました。
何度か黄金期を経て、やがて衰退へ。
路面電車の衰退は1965年くらいから始まっていますが、
そのきっかけの一つがモータリゼーションです。
国による高速道路の整備や拡張によって、マイカー派が急速に増え、
同じ道路上を走るライバルとして自動車が市民権を得て、路面電車にとって変わります。
今後、路面電車が公共交通の主役になることは難しいものの、
世界では、建設コストの安さや環境への配慮もあり、再び注目されています。
日本の場合は高齢者に優しいという特徴もあります。
現在、東京都内を走る路面電車は2つ。
一つは下高井戸と三軒茶屋間を走る、東京急行電鉄世田谷線、
もう一つは、早稲田、三ノ輪橋間を走る、東京都交通局荒川線です。
今回、私は荒川線に乗って、その特徴を探ってきました。
早稲田駅です
道路の真ん中に駅があるって存在感がありますよね。。
運転席からの景色はこんな感じ。ここ、東京ですよ。
駅に到着すると、緩やかなスロープをあがってすぐに乗車でき、高齢者に優しいのが分かります。
今はICカードで乗車できます。荒川線の最高速度は時速40キロ。
平均速度は時速30キロと、かなりゆっくり。
少年に戻った気分で目の前に広がる景色を楽しみましょう。
幹線道路を走る車と競争するように見えるところもあったり、
踏切がないところを車や歩行者が横切る様子が見られるのは路面電車ならでは。
降りる時にはバス同様、運転士にブザーで知らせます。
運賃は全区間一律で170円、ICカードで乗車すると165円です。
現在、9月16日まで、区間内9つのポイントでスタンプを押すスタンプラリーをやっています。
これに参加するには、大人400円という1日乗車券を利用するのがオススメ。
3回乗れば元を取れます。沿線にはサンシャインシティや飛鳥山公園、
あらかわ遊園という遊園地など、観光スポットへのアクセスも便利です。
繰り返しますが、ここは東京です。
荒川線はラッピングトレインが多いので、レトロ感よりも新しい乗り物のよう。
何もかもがスピード化された現在、
当時のペースをしっかり守って走行している路面電車は都会のオアシスのようにも思えてきます。
ちんちん電車と呼ばれるように、発車する前に「チンチン」と、鳴り響く様子も心を癒してくれます。
関東には東京の2つの路線の他に、神奈川県を走る江ノ島電鉄、通称江ノ電もあります。
他にも、大阪や広島、札幌、熊本、鹿児島など、数は少なくても、
その土地土地での味わいがあります。
ラッピングされた車両や、ICカードでスムーズな乗車、そして高低差がないので楽々の乗車。
この夏、是非、観光地で路面電車に乗ってみて下さい。