歴史的名作を改めて読む
今日は、1970年代に出版されたSF大作が今年映画化されるとのことで、
もしかして昔、読んだことがあるという方もいらっしゃるであろう、「エンダーのゲーム」をご紹介。
元々1977年に短編小説として出版され、85年に長編に書き直されました。
長編小説として改めて出版され、SFやファンタジー作品に贈られるヒューゴー賞と、
SF作品に贈られるネビュラ賞に輝いた世界的ベストセラーです。
「エンダーのゲーム」は、エンダーの目線で描かれる彼の成長物語です。
元々、初期に発表された短編では、11歳に成長したエンダーがバトルスクールで学ぶものでしたが、
長編に書き直すに当たり、3人兄弟の末っ子として生活する普通の子ども時代から、
大人になるまでを描くものになりました。
子どもが地球を救うという、これまでにない斬新なストーリーは、当時、SFファンを熱狂させ、
「エンダーのゲーム」以降、10作以上の関連小説が発表されています。
今回、長編を初めて読んでみて、とても面白かったんですが、ストーリーで最も多くのパートを占めていたのが、
バトルスクールでの訓練シーンです。
優秀な子どもたちがチームを作って、チーム同士の戦いがあったり、チーム内でのいざこざがあったり、
幼い子はまだ6歳、10歳前後の子どもたちが地球の平和を守るために奮闘するわけですが、
出る杭は打たれるので、エンダーを始め、強い者がいじめられたり、狙われたりといったこともあります。
それでもチームをまとめようとエンダーは考え行動しますが、エンダーも所詮10歳に満たない子ども。
そんな彼らが成長する姿はたくましく、会話もとても「大人」です。
そんな子どもたちを見守る大人たちももちろん重要で、
スクールの責任者であるグラッフ大佐、エンダーの師匠でもあるラッカム。
彼らはエンダーたちに「押し付ける」というよりも「導く」といったポジションです。
その期待に応えるエンダーの成長ぶりが最大の読みどころでしょう。
模擬訓練では負け知らずで勝ち進んで行くエンダーのチームですが、
エンダー自身は「誰も傷つけたくない」と本音を漏らすなど、
リーダーとしての心構えはあっても、優しい心の持ち主でもあります。
地球を離れ、宇宙空間にあるバトルスクールが舞台のSF超大作「エンダーのゲーム」。
短編出版からおよそ35年の時を経て、今年11月に映画公開されます。
すでに予告編がネットで公開されていますが、主役のエンダーを演じるのは、
「ヒューゴの不思議な発明」で主演を務めたエイサ・バターフィールド、グラッフ大佐にはハリソン・フォード、
ラッカムにはベン・キングズレー、他にもヴィオラ・デイヴィスといったベテラン勢が揃うほどの豪華キャスト。
コンピューター技術としても発展途上で、さらにインターネットがない時代のストーリーだけに、
現代に甦る作品として、どこまでリアルに描いているのか注目したいですし、
1作目にして続編を期待したい作品でもあります。
OA曲: Children’s Eyes / Fair Warning
<今週の星の見どころ>
月がきれいに見えるのが今週です。
明日24日は日没後、土星のすぐ下に、丸くなりつつある月が見えます。
街灯がない場所では、自分の影ができるくらい明るくなるでしょう。
25日(土)が満月なので、月明かりに負けない、明るい惑星たちを見つけて下さい。
そして、夜10時にもなれば夏大三角が出そろいます。
その頃、冬の星座たちは西の空に沈み、梅雨入り前、春と夏の星座を楽しむチャンスです。
例年6月上旬には梅雨入りする関東甲信地方ですから、
土曜日の満月も併せて、晴れ上がった夜空を是非、見てみて下さい。