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2019年9月26日 (木)

森雄一の週一エッセイ 第22回「修学旅行、昔と今」

先日、中学三年生の息子が修学旅行に行ってきた。奈良と京都。

東京発としてはオーソドックスなルートだと思う。東京を起点

に考えれば、新幹線や飛行機を使って、短期間に遠くまで行け

そうだ。

 

私が中学生の時は1980年代初期だからちょうど東北新幹線が

通ったタイミングだ。だからといってみんながこぞって東北に

行ったということはないと思う。40年も前のことは何の参考

にもならないが、私の通っていた東京・杉並区のとある公立

中学校では、修学旅行先は「奈良・京都」or「広島・岡山」と

決まっていて、交互に行っていると当時の先生から聞いた。

高校は私立高校だったが、毎年、行き先が変わると言っていた

ような気がするが、いずれにしろ、私は中学でも高校でも広島

だった。往復の交通は新幹線で、現地では、基本的に団体での

バス移動。高校では班行動でそれぞれが行き先を決められ、

山口にて、自転車で萩に出掛けたものだ。

 

では現代の一例として、東京の公立中学校に通う息子のケース。

を見てみよう。行き先は、奈良と京都。二泊三日には驚いた。

それぞれ一泊ずつという、私の印象としては弾丸ツアーだな。

往復で一日使うわけだから、それぞれの地で8~9時間程度の

行動時間しかない。大きい荷物はあらかじめ初日の宿泊先に

送っておく。これが第一の驚きだ。着替えなど、かさばる荷物

は事前にバッグに入れ、学校経由でトラックにて宿泊先に輸送

するという。出発が平日ということを考えると、通勤時間帯に

中央線で東京駅まで行くのだから、乗客へ迷惑がかからない

ように最低限の荷物にするのは賢い選択なのかもしれない。

第二の驚きは、新幹線が修学旅行専用列車だったこと。一般の

利用が多い新幹線に修学旅行生がお邪魔すると思っていたが、

どうやら違うらしい。調べてみると、昭和40年代から新幹線

にはそのような措置がとられており、ということは、私が過去

2回利用したときもそうだったのか。これはまったくの、私の

勘違いなのかもしれない。いずれにしろ、呉越同舟、共同戦線、

一蓮托生・・・・違うか?

息子に聞くと8校の生徒が、同じ京都を目指して同乗したとか。

帰りも同様で、京都発、東京着で、同じように複数校が乗って

いたようだ。東海道新幹線は、東京か新大阪から出発するもの

と思っていたが、京都発というのがあるのか。JRやるな。

第三の驚きは、班ごとにスマートフォンが支給されたことだ。

個人持ちのスマホは持参不可。代わりに学校が支給。ふ~む。

森家への配慮だな。我が家は子どもにケータイは持たせていない。

連絡はメールが基本で、電話は極力しないようにという指導が。

息子は不運にも班長で、使ったこともないスマホを持たされ、

メールが上手に打てずに非難ごうごうだったとか。

 

何はともあれ、無事に帰ってきたし、学校全体でもトラブルは

なかったようで、親としては何よりだ。私の修学旅行は昭和で、

息子は令和。平成が抜けてしまったが、新しい時代を迎えても

旅行先が変わらないというのは、安心する一方で、なぜなんだ

という疑問もわいてくる。奈良・京都は日本の歴史に触れる旅。

広島・長崎は戦争の悲惨さを学ぶ旅。東京は日本の都市を体験

する旅。大きく変える必要はない。今の日本をしっかり見せる

旅をさせてあげてほしい。

願わくば、不登校や体調不良、様々な障がい等で参加できない

子に、現代ならではのVR等を使った修学旅行体験をさせて

あげられるような技術が進むことを願うばかりである。

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