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2019年7月 4日 (木)

森雄一の週一エッセイ 第10回「端か中か」

二者択一の質問をする。

「端と中、どちらが好きだろうか。」

 

電車で7人掛けのシートが空いている。さて、どこに座るか?

・・・・そうか、端か。

 

トイレに入り、個室5つがすべて空いている。どこに入るか?

・・・・ふむ、やはり端か。

 

ロールケーキやとんかつを食べるとき、一人で食べるにしろ、

大勢でシェアするにしろ、最初に手を出す者が選ぶのは・・・・

やっぱり端、か。これらの質問、私が個人的に家族や友人5人に

聞いたら、全員が端を選ぶと答えた。さすがに食べるものは私も

端からだが、基本的に私は中派だと思う。男子トイレの小便器が

3つ並んでいたら、迷わず真ん中に陣取る。電車の長シートでも、

端に座ることはあまりない。答えは単純で、両隣に人がいたほうが

安心するからである。「いたほうが」というか、正確には「誰かと

触れていると安心する」の方が伝わりやすいかと思う。

文章にするとどうも落ち着かないな。なんだ、モーリーは変態か?

寂しがり屋かと思われてしまったか。どちらでもないと信じたいが、

そういう考え方であることは事実なのである。

 

端には端なりのメリットがある。人に干渉されにくい。これは事実だ。

逆に、「追いやられている」ようにも見える。レストランで、「あちらの

隅にどうぞ~」と言われて気分がいい客はいない。隅とか、端とは

言わないようにと、レストランでは指導されていることを祈りたい。

端を求める友人曰く、「端を求めるのは本能だよ」。ふ~む、そうかも

しれない。自衛、平和、不干渉、日本人が特に好むものだよね、

と友人は言う。え?日本人だからそうなるのか。

 

分かりやすいところで、鉄道の座席を見てみよう。JR東日本を始め、

各私鉄の座席を見てみると、7人掛けか3人掛けが多いことが分かる。

しかし、新幹線や特急車両のケースは、2人掛けが多い。中派の

私にとって選択肢は狭くなる。偶数よりも奇数がいい。話の論点が

ズレてきているが、最近は、鉄道各社、通勤列車に豪華車両を

投入し、朝晩の通勤時に有料座席を提供し始めている。通常料金に

さらに上乗せなんて正気の沙汰じゃない。そういった意見も多かったが、

ここまで各社が投入するようになると、そうでもなくなってくる。でも、

端がいいのは変わらない。飛行機でも通路に挟まれた座席エリアは

4席だったり。間の2つの席にはまったカップルは運が悪かったと

嘆くのであろう。

 

結局、何なのだろう。自人から干渉されにくい自分のスペースが

欲しいということなのか。ホテルやマンションといった建物でも、

端の部屋がいいという人同士の小さな戦いは日々展開されていると

思われる。でも、駐車場とか、コンサート会場のように、中の方が

人気になるところもあるので、ケースバイケースである、と結論付け

ようと思う。別に、どっちかが勝ちということでもない。一般的に優位に

立つ方に、モーリーはなびかない男だということだ。

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