鉄ちゃん道、どう?~地下鉄~
鉄分モリモリでお届け~
鉄ちゃん道![]()
今日は地下鉄![]()
地下鉄って便利なんだけど、地味。
通勤・通学では利用価値があっても、旅行のための手段ではない。
地下を走るので外の景色が見えるわけではないし、
東京都心を主に走る地下鉄を使って旅行ということもないですよね。
でも、地下鉄って、とても魅力のある乗り物なんです。
地下鉄って世界中、いろんなところで走っているんですよね。
日本国内でも、東京、埼玉、横浜といった関東地方をはじめ、
札幌、仙台、大阪、名古屋、福岡、神戸など、各地にあります。
世界に目を向けてみると、地下鉄を初めて走らせたロンドン、
パリ、ベルリン、バルセロナ、ローマのようなヨーロッパ各地、
アメリカのニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルス、カナダのトロント、バンクーバー、
南米ではメキシコ、ブラジル、アルゼンチン、アフリカでは、エジプト、アルジェリア、
アジアでも、ソウル、北京、香港、台北、バンコク、シンガポール、インド、トルコなどなど、
150都市以上で走っています。
もちろん現在も各地で建設が進められているので、すぐに200都市を超えそうです。
地上を走る鉄道のみならず、地下にも網羅させるにはそれなりの理由があります。
世界で、初めて地下鉄を採用したのは、ロンドン。
1863年と言いますから、日本は幕末です。
ロンドンの最初の地下鉄はご想像通り、蒸気機関車でした。
電気やディーゼル機関で走らせる列車は実用化されていなかったので、
それしかなかったわけですが、もくもくと煙を出す蒸気機関車は混乱を巻き起こしたようです。
少しでも煙を出さないようにと、燃料に石炭ではなく、煙の少ないコークスを採用したり、
駅には煙を逃がすために排煙口を作ったり、プラットホームには布製の煙よけが設置されたりと、
涙ぐましい努力はあったようですが、
当時の乗客は、必需品として濡れタオルを持ち込んでいたそうです。
ロンドンの一定の成功を元に、次に作られたのはトルコのイスタンブールでした。
ロンドンでの運行から3年後、チュネル駅とカラキョイ駅の間を結んだ路線で、
距離は驚きの573メートル。ロンドンでは、パディントン駅とファリンドンストリート駅間の6キロ、
相当、短い路線だったんですね。
この路線はいまも稼働中で、世界最短記録を維持しています。
この区間は短いが故に、ロープで引っ張って走行するケーブルカーだったそうです。
これだと煙が出ないから安心ではありますが、スピードはどうだったんでしょうか。
ロープを引っ張る手段として考案されたのが馬。
何と、馬が引っ張ってケーブルカーを動かしていたんです!
何とも時代を感じさせます。
明治時代になり、東京や大阪では人口が急増。交通網の整備は急務でした。
そこで、東京にも地下鉄が必要だと考えた人が出てきました。
日本の地下鉄の父と呼ばれる早川徳次です。
多くの山梨県民はご存知のはず・・・早川は、現在の笛吹市出身です。
中学校まで山梨で過ごした早川は、早稲田大学を卒業し、
鉄道や運輸行政を管轄する鉄道院に入局しました。
1916年、大正5年にヨーロッパの地下鉄の視察を終えた早川は35歳。
やる気みなぎる年齢ですよね。
東京には地下鉄が必要だ。では、どこに走らせようかと、
自ら街頭に立って交通量を調査しました。
当時、鉄道は新橋—上野間、路面電車が、日本橋や神田、銀座など、その間を走っていました。
早川による調査の結果、品川と浅草の間に地下鉄を建設する計画を立てました。
資金調達に走り、役所に掛け合い、何とか着工の目処がたちました。
途中、資金難や関東大震災によって混乱が生じましたが、
1925年9月27日午前10時、地下鉄の起工式が行われました。
この日、この時間には大きな意味があります。
それは、世界初の鉄道がロンドンで誕生した瞬間からちょうど100年という節目でした。
地震が多く、地盤が弱いとされる東京では地下鉄は無理だ。
そんな常識を覆し、自ら調査し、お金をかき集め、
現在も通勤・通学を強力にサポートする地下鉄を作ったのは、ここ山梨の人。
早川徳次の胸像は、銀座駅に設置されています。
今度、東京に行くことがあったら、是非、早川の胸像を訪れて「ありがとう」と伝えたいですね。
いかがだったでしょうか。もう地味なんて言わせない、地下鉄の魅力。
来週もそんな地下鉄の面白いお話しをしたいと思います。
