試飲、試食、◯◯を試す...
おはようございます。
今日も、気持ちのよい青空が広がっています。
水曜GOOD DAY よろしくおつきあいくださいね。
さて、今日のテーマは
「試◯◯」!
試飲、試食、大〜好き♪
試着して、お店の人に「お似合いですね〜」なんて言われると、つい、買っちゃう。
車を購入するときに、試乗は大事ね。
あなたが ◯◯をお試しした経験、腕試し〜など、
エピソード、思い出話、なんでも教えてくださいね。
放送内では、先週、勝沼の「ぶどうの丘」のワインカーブで、試飲したときの様子を
ちょこっとお届けしますよ。
この写真は、試飲の結果、私が購入したワインたち。
甲州種とシャルドネ種、いずれも白ワインばかりです。
一番右側は、白百合醸造のワイナリーで買い求めたグラッパ。
香水用に造られた瓶を使用しているとあって、ボトルが美しい。。。
ぶどうの丘は、文字通り、丘の上にあって、見晴らしが抜群♪
これは、「ぶどうの丘」の美術館で鑑賞した 絵画。
4月中は、故・箕田芳子さんの遺作展を開催中。
晩年は自画像を描くことが多かったそうですが、あったかいお人柄が伝わってくる絵ですね。
11時台のGLITERRING TIME 〜 La vita e bella つながり人 ~のコーナーでは、
スターダスト・レビューの根本 要さんと電話で繋いでお話を伺います。
きょうも、あなたのご参加、お待ちしています〜♪
放送後記
今日も、たくさんのご参加ありがとうございました。
男性のTバックの話やら、婚活リップの話やら、楽しかったです!
2時台に電話で繋いだ 都留市役所の佐藤さん、なぁんか面白いかたでしたぁ♪
佐藤さんの番長ブログは、こちらです。
http://takarabanchou.jugem.jp/
午後3時台の「カラフル5〜もの語り〜」のコーナーで朗読した作品の原作です。
原田佳夏 作 「私のお気に入り」
何、寒いって?
暑いからクーラー強くしろっていったのは、タケちゃんだろ。
ただでさえ、ビールだ、スイカだ、アイスキャンデーだって、身体冷やすもんばっかり食べてるからこんな身体になっちゃったんだよ。なっちゃってからじゃ遅いってさすがに今は分かってんだろ?
え? 分からない。
本当に往生際が悪いね。
いいかい、ゆっくりはっきり言うからね、しっかり聞くんだよ。
あんたの身体は、暴飲暴食、運動不足、塩分糖分脂肪分、余分三兄弟で出来上がった身体だよ。
どうせ貯めるなら脂肪じゃなくてお金にしときゃあいいのにさ。
そしたらレンちゃんも坊主も苦労せずにすんだのに。
あ、寝たふりしたよ、この人。
いいかい、寝たまま、その耳かっぽじってよおく聞くんだよ。
たとえ律儀に週に二回ハリ灸マッサージに通ってきたって、それは運動とは呼ばないの。
どうせ終わったら向かいの焼き鳥屋に行くんでしょ、履物屋の小沢の息子と。
なにびっくりしてんだよ。ストーカー? 冗談じゃないよ。毎回同じ行動パターンなんだもの、タケちゃんちの坊主だって分かるよ。芸がないっていうかなんというか。
何? 牛乳屋に芸はいらねえ、牛乳配達には軽があれば十分だって?
誰が大喜利やれって頼んだよ。うるさいよ、まったく。
じゃ、この枕抱いて、向こう向いて。
足、違う、こっちが上。
――なんて冷たい足なんだよ。――しっかりしてよ。もう。
どんだけ通って同じことしてるんだよ。レンちゃんよりこの枕、抱いてるほうが多いんでしょ。
え。なんで誰も知らない家庭の秘密を知ってるんだって? 真顔で聞くやつがあるかよ。あんたが、タケちゃんが、話すからじゃないか。
あーあ、こんなことだったら、レンちゃん、ワタシが嫁に貰っておくんだったよ。
え、本心かって言うのかい。野暮な男だね。話の流れってもんがあるだろう。
お愛想だったら失礼な話だし本気だっていったらそれこそ困る話だろ。あ、黙っちまった。
ええい。話のついでだ、今まで言えなかったことだけど、今日は言わせてもらうよ。
タケちゃん、あんたこそ、人の気持ち考えて行動してるかい?
勢いだけで行動しちゃうと、周りが戸惑うことになるんだよ。
なに。分かってるけど、納得いかないって?
――あのね、分かっていても納得いかないことがあるのが、人生でしょうが。
気持ちの切り替え、簡単にはつかないだろうけどさ、つけるのが肝心なんじゃないのかい。
何、今度は暑いって?
ああ、お灸ね。お灸が熱いんだ。感じられるだけましだよ。もう何にも感じないかと思ってたからさ。
――ああ、レンちゃん、元気にやってるよ。タケちゃんいなくてもきちんとやってる。
なんで真っ直ぐ帰らないんだよ。え? 熱い? ツライ? 泣くやつがあるかよ。レンちゃんや坊主のこと考えたらお灸の熱さぐらいなんだい。
そんなにツライか。
じゃ、いいこと教えてやるよ。タケちゃん、あんたのお気に入りはなんだい?
いいから騙されたと思って言ってごらん。
うん、向かいの焼き鳥屋のつくね、裏の甘味屋の葛きり、八幡様の屋台のたこやき、――おいおい、全部食べ物かよ。
え、まだある? レンちゃんのシチューが天下一品だって。――食いたいか? 確かにシチューは冬の食いもんだけどさ、このくそ暑い日にシチューっていうのもなかなかオツじゃないか。
で、まだツライかい?
どうだい。ワタシの言った通りだろう? 好きなもんのこと考えると、辛さや怖さが凌(しの)げるんだよ。
『サウンド・オブ・ミュージック』って映画知ってるかい?
あの映画の中で、トラップ大佐の七人の子どもが雷が怖いっておびえるときに、家庭教師のマリアが歌うシーンあっただろ。
「悲しいときやつらいときには楽しいことを考えましょう」って言って。
それが『私のお気に入り』って歌。
サックス吹きのジョン・コルトレーンの『マイ・フェイバリット・シングス』っていったほうが知られてるかもね。
今でも流れてるか知んないけど、旧国鉄のコマーシャルでやってただろ。「そうだ、京都に行こう」ってやつ。そうそうそう。あれで流れてた。あれが『マイ・フェイバリット・シングス』っていう曲。
ハチに刺されたとき
悲しい気分になったとき
ただただ、好きなもののことを
思い浮かべるの
そうすれば気分がほぐれてくるわ
って、あの歌だよ。なに、ワタシの節回しだと好く分からないって、そんなことどうでもいいんだよ。
肝心なのは、歌詞の意味だよ。
……ね。ハチに刺されたと思いなよ。分かってるよ。そんな簡単なことじゃないってことは。でも、仕方ないことでもあるんだ。諦めつかなくても、諦めなよ。そして、お願いだから、レンちゃんのところに真っ直ぐ帰ってやってよ。
ああ。分かる。タケちゃんがツライのはよく分かる。
だからこそ、大好きだったレンちゃんのこと思えば、たいがいのことは凌(しの)げるだろ。
――さっき覗いてきたけどさ、レンちゃん、このくそ暑いのに、シチューこしらえてたよ。タケちゃん、あんたのために決まってるだろ。あんたが帰ってくるからシチュー作ってるんだよ。
だからさ、頼むよ。このお灸、済んだら、向いの焼き鳥屋に寄らずに、真っ直ぐレンちゃんと坊主のところに帰ってやんな。
いいかい、タケちゃん。あんたにも分かってるんだろ? 向かいの焼き鳥屋の大将も、履物屋の小沢の息子も、――生きてる人には今のタケちゃんは見えないってこと。
じゃ、なんで、ワタシに見えるのかって?
さあね。なんでだろうね。人の身体を触る商売って、人の身体だけ分かればいいって思われがちだけどさ、心を見なきゃ本当の身体の悩みは見えないんだよ。
だから、身体以外のもんも見えるようになっちまったのかもね。
――タケちゃん、あんたが、脳溢血であっけなく逝ってから、近所の連中が元気なくてさ。
幽霊でもいいからタケちゃん出てこいって、飲むたびにみんな騒いでたけどさ。だけど、その言葉、間に受けて本当に出ていっちゃダメだよ。
みんな、びっくりしてあの世に逝っちゃうから。
――そうか、帰る決心ついたか。
タケちゃんもそうだけど、まだまだレンちゃんも坊主も踏ん切りつかないと思う。
お互い初めての盆だもの。ゆっくりと気持ちを片付けていくしかないんだからね。
そうか、帰るか。レンちゃん、気がつくといいな。
※ ※ ※
あ、大将、いらっしゃい。
店開ける前にひと揉みしろっていうんだろ。いいよ。
え? 誰かきてたのかって?
あ、ああ、まあね。あんたの知ってる人だよ。
しかし、参ったね。驚いたね。
え。そんなに酷い客だったのかって?
いや、そうじゃないんだよ。今までタケちゃんの幽霊が来てたんだ。
いや、そんなに驚かなくてもいいよ。
なんたって、タケちゃんなんだから。
でもさ、いきなり死んじまったから、せっかく盆でこっちに帰ってきても、真っ直ぐレンちゃんと坊主に会いに行くのが恥ずかしいんだとよ。だからって、マッサージ受けにくるバカがどこにいるかってんだよな。
え? 幽霊がきたら驚くだろうって?
いや、幽霊が来たことがびっくりじゃないんだ。
幽霊でも――足、あるんだなって。
ああ――すまん。変な声だして。
だけどさ、いいよな。有難いよな。――大将の足は、あったけえや。
《加筆》2011.10.09