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2019年8月29日 (木)

森雄一の週一エッセイ 第18回「バス」

以前、鉄道について書いたことがあったが、今回も乗り物、バスだ。

バスは不思議な乗り物で、好きか嫌いかと問われれば、子どもは

かなりの確率で「嫌い」と言うだろう。大人は微妙だが、好き嫌い

よりも「乗らない」と答える人が多いか。バス会社関連の方がこれを

読んだら気分を害するだろう。あらかじめ申し上げておく、申し訳ない。

 

ところが、だ。私は最近、バスを好んで利用している。都バス中心。

ご存知のように東京都はバスと地下鉄を運航している。民間よりは

若干高めかもしれないが、意外に、かゆいところに手が届くような

ルートを持っているかなとも思う。都バスは東京23区が中心で、

東京西部については小金井から青梅にも行ったりする路線がある。

距離の長さもさることながらバス停の数は80!所要時間は2時間弱、

路線バスとは思えないスケールなのだ。でも、Wi-Fi完備で、東京の

田舎町を見ながら揺られるのはなかなかできない経験だ。

 

子どもはバスが嫌いと書いたが、私自身&自分の子ども&周辺数名。

5人ほど聞いたところ例外なくその答えが返ってきた。なぜなのか?

私の答えはこうだ。

 

くさい。

 

バス車内のにおいは独特のものがあり、乗用車と同じと思いきや、

違うのだな、これが。もちろん私が子どもの時代は40年も前だから

排気ガス問題があったり、車の性能も今とは全然違う。中でも外でも

たばこを吸う人であふれていたこともあり、バスに限らず、街全体が

くさかったといっても過言ではないかもしれない。それにもまして、

バスの中はくさかった(重ねて申し訳ない)。乗車前は必ず酔い止めを

飲み、できる限り息をしないようおとなしくしていた。大学の友人は、

酒飲んでの酔い+バス酔いで耐えられず、窓を何とか開けてそこから

嘔吐物を放つというおぞましいことをやってのけたことを武勇伝と

していたが、バスには狭い車内だからこそ様々なドラマがある。18_020

例えば、地元の路線沿いでは総合病院と高校が隣り合っており、

車内で高校生が患者と思しき人に席を譲る光景は見ていて気持ちが

いいものである。運転手がマイクを使って車内アナウンスを入れる

というのも狭い空間にはうってつけだ。以前、秋のキャンペーン

だったか、少し照れながらPRアナウンスしている運転手に好感を

持った。1人掛けか2人掛けの座席が多いので、他人同士がぴたっと

くっつくことにも、個人的には好影響が期待できると考えている。

高校の通学シーン、憧れの先輩を見つけ、2人掛けの横に座る女子。

想像するだけでほほえましくないか?

 

来年の東京五輪・パラリンピックでは選手や道具の輸送で、大量の

バスが東京に集結するという。普通運転免許で運転できたらいいのに。

だってドライバー不足なんでしょ。外国人運転手も活躍してくれる

かも。最近、ロケバス婚なんて聞くし、これからバスはもっと熱くなる

のでは?