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2019年9月19日 (木)

森雄一の週一エッセイ 第21回「サカナクションVSミートローフ」

魚が好きだ。

日本ではとてもメジャーな質問だが、肉と魚、どっちが好き?と

聞くことは多い。公式の結果なんてないのだろうが、肉に軍配が

上がるのは火を見るよりも明らかだ。ましてや、現在はステーキ

ブーム。200gのビッグステーキが格安で食べられるレストランが

大いににぎわっている。私も魚好きだと言ったところだが、食べる

頻度としては肉の方が圧倒的に多いのは否めない。ただ、これは

頻度の問題ではなく、あくまでどっちが好きかという話。

 

森家の2週間の夕食メニューを振り返ってみると、共にした10回

のうち、魚を使った料理は2回あったと思う。うち1回はサバ缶を

使った料理だったので、鮮魚を使ったのはたった1回。野菜だけの

夕食は我が家ではないため、残り8回は肉メインだったわけだ。魚

好きでもここまで食べないものになってしまったのだ。

 

かねてから言われる魚離れ。でも、海に囲まれた日本は水産資源

が豊富だからこそ、我々の生活は魚とともにあった。様々な種類

の魚に名前が付けられ、それぞれに漢字があてがわれる。読み方

は難しいが、魚偏の言葉が並ぶのを見ると、日本人だからなのか、

妙に血が騒ぐ気がするのだ。

 

肉に関する言葉を見てみよう。甲州牛、神戸牛、米沢牛、松阪牛

など、各地にブランド牛が存在するが、肉の部位を見ればどれも

呼称は同じだ。焼き肉レストランで目にするメニューも代わり映え

しない。カルビ、ハツ、レバー、ホルモン、タンなど、お気づき

だろうか。すべてカタカナ表記だ。ハツ、レバー、タンは英語を

日本語読みしたもので、カルビは韓国語だし、ホルモンにいたって

は捨てるものを意味する「放るもん」が語源だとも言われる。大半

の国民に支持される肉の名称は、案外寂しいもののようだ。一方で

魚、だ。

 

紙上漢字検定ができてしまうくらい、ほとんど目にしない魚偏の

バラエティ豊かな魚類の数々。食卓に頻繁に上る身近な魚だったら

読めるし書ける。いわし、さんま、あじ、くらいなら(汗)。

刺身でお馴染みの、まぐろ、かつお、たい、ひらめ、さばなど、

分かりそうで・・・・・書けない。調べてみると、魚偏の魚類は

200種以上もあるようで、日本近海で獲れる魚類には軒並み名前

がつけられているはずだ。たこだってはまぐりだってどじょう

だって漢字があてがわれている。これはどういうことなのか。

 

目にする、口にする頻度が高いからこそ、愛情をもって名前を

つけられたのは想像に難くない。好奇心の強い子どもが、そこに

興味を持つこともあるだろう。魚類研究者であり、タレントと

しても活躍するさかなクンが引っ張りだこのように、魚の研究者

は、魚食が栄えている国には多いのだろう。では、肉の研究者は

どうだ。人前に出ることは少ないかもしれない。さかなクンの

言葉使いである「ギョギョギョ」に対抗して「ギュギュギュ(牛)」

なんて返したところで、微妙な空気が流れそうだ。

 

肉を愛する人を悪者扱いするつもりは到底ない。もっと、魚を

食べていこうぜと声高に叫びたいだけなのである。ちなみに、

山梨に来ると、サバ缶と酢イカは大概買っている。酒のアテに。

タイトルについては深い意味はない。先日のラブシャで来県した

日本のバンドサカナクション。アメリカの歌手、ミートローフ。

魚VS肉だなあと思ってつけただけだ。

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