森雄一の週一エッセイ 第6回「全部、オレンジ。」
オレンジ色のもの・・・・・あなたは何を想像するだろうか。
身近でありそうな色であり、でもあまりぱっとしない。むしろ、
忘れられがちな色なのかもしれない。
子どもの頃にテレビCMでよく聞いた「オレンジ色の憎い奴」
というフレーズ。夕刊フジという新聞のCMだ。
野球好きならジャイアンツ。巨人は黒とオレンジがなければ
成り立たない。かつて私もジャイアンツのホームゲームで
場内アナウンスをしたが、ネクタイはオレンジに決めていた。
強制はないけど、なんとなくチームカラーを身にまとったほうが
いいのかなあと。
自然の色としては、夕方がオレンジと言っていいだろう。
挙げればキリがないのだが、どうだろう。インパクトとして、赤や
青などの色と比べるとちょっとパンチがないように思えないか?
東京と山梨を結ぶ鉄道、JR中央線。車体カラーはオレンジだ。
開業130周年だそうで、盛大に各地でイベントが開催されている。
全身オレンジの時代から、今はステンレスのカラーを生かし、
シルバーとオレンジのバランスが絶妙な感じである。しかし、
130年の歴史では全身オレンジの期間の方が圧倒的に長い。
新宿駅で、黄色の総武線、緑の山手線、オレンジの中央線。
カラフルな車体が入り乱れる様子は圧巻だった。
その様子が今、再現されている。といっても中央線のみだが、
全身オレンジでラッピングされた車体を見ると、誰もがハッと
するはず。それこそ、すぐさま写真に収める勢いだろう。乗り鉄の
私としては40年以上も付き合いのある中央線だ。これぞ、
パンチのあるオレンジだ。ヘッドライトがまん丸の101系、
そのライトが2つに分かれた103系、面構えが黒とオレンジの
2色になった201系、どれも捨てがたいが103系が特に好き
だった。
通っていた東京・杉並区の中学校校舎からは、高架化された
中央線が見え、時に車両が見えると、鉄オタの友人と、あれは
101系か103系かなどと当てっこをしたものだ。遠くからでも
認識ができるオレンジ。
今回、エッセイに採用するにあたり、ラッピングトレインの写真
でも撮りますかと、駅に行ってもなかなかその姿に会えない。
調べてみると、たった一編成のみがラッピングされているという。
いつ、どこを走るかわからないというのは、鉄道ファンにとっては
さほど驚くことではない。突然、巡り合えるところにロマンを感じる
余裕が鉄オタにはある。
実は、すでに2回ラッピングトレインは見ているのだが、あまりに
突然すぎて写真を撮るに至らず。他人の写真を拝借するのも
できそうにないので、それぞれが見つけていただきたい。
8月31日まで、東京-大月間、立川-青梅間を走るものの、
なにしろ一編成だ。偶然を期待するくらいでいいじゃないか。
そういえば、80年代のビジュアルバンドでG.I.オレンジって
いたのさ。いやいや、なつい。