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2013年7月 4日 (木)

星が見えない夜だから

7月に突入しました。
例年よりも早く始まった梅雨もあと2週間もすれば終わりそうですが、
気づけば七夕も目前です。
果たして、今年は彦星と織姫の逢瀬を見届けることができるのでしょうか。

毎年、甲府盆地で行われているのがライトダウンイベント。
天の川の見える星空を取り戻そうと、参加団体を募って、
街の明かりを可能な限り少なくして、星空を見上げようというものです。
ライトダウンにご協力いただく団体も多く、実際、通常よりも星空は、
どの程度見やすくなるのかということは数字でも証明されています。
そもそも、明かりを消すというのはどういうことなのか、改めて・・・。

天体観測が盛んになる夏に、
特に新聞などでよく目にするのが光の害と書いて「光害(ひかりがい)」という言葉。
夜になると、当然のようにビルに明かりが灯り、街灯もあちこちで光を放ちます。
もちろん家庭の電気もそうです。
外に漏れる明かりは、夜空の本当の暗さを奪っているんです。
一世紀ほど前だったら、夜は本当に暗いものでした。
地球は24時間の周期で自転していて、
その昼夜のリズムは、地球上のすべての生き物の体に刻み込まれています。
昼は活動し、夜は休息する。私たちの生活はその中で繰り返されています。
光を発するにはエネルギーが必要で、残念ながら必要のない明かりが
世界各地で数多く灯っています。
これは、エネルギーの無駄遣いにもなりうるもので、
その様子は宇宙飛行士から見るとよくわかるそうです。
国際宇宙ステーションから地球を見ると、
夜の面では地上から驚くほどの明かりが見えるそうです。
一見、美しいと思いがちですが、必要のない光が集まり、一帯を明るくして、
夜空を明るくしてしまっているんです。

 

夜なのに明るくなると、自然界に大きな影響が出てきます。
植物は生長を阻害され、その結果、おびただしい数の生き物が死に追いやられています。
渡り鳥は高層ビルの窓ガラスに衝突し、命を落とし、海面のきらめきと信じ、
海へ入るはずのウミガメの赤ちゃんが街の明かりに吸い寄せられることもあります。
歩行者でさえ、車のヘッドライトに目をやられ、思わぬ事故に遭ってしまうこともあります。
また、夜に明かりを浴び続けると、体内時計の乱れによる睡眠障害が出たり、
ある種のガンのリスクが高まることも分かっています。

 

無駄なエネルギーを消費し続けているのも事実で、
東日本大震災以来、無駄な明かりは消される傾向にはありますが、
震災から2年たってどうですか?
もしかしたら以前のように戻っていませんか?
これは、天文学者が研究のために「ライトダウンして下さい」といっているのではありません。
きれいな星空を望んでいるのは事実ですが、
それは同時に、私たちの体を安定させて、自然界に安らぎを与え、
無駄なエネルギー消費を抑えることにもなるんです。

 

この光害問題がよく分かるムービーが動画サイトで公開されています。
製作したのは、1988年に設立された、国際ダークスカイ協会で、
今年1月に東京支部もできました。
世界各地に支部を設け、光害問題に取り組む世界最大の活動組織です。

 

私たちができることはたくさんあります。
でも、そのすべてをやる必要はないと思います。
人それぞれにできあがった生活リズムがありますし、夜間の作業もあるでしょう。
時は夜遊びもするでしょう。
でも、残業を減らしたり、夜間のドライブを少し減らしたり、
早く寝るようにしたりと、外に漏れる光をできるだけ少なくすることはできるはず。
一つの小さな明かりもたくさん集まれば、強烈な光の塊となって夜空に舞い上がります。
それが、光害になっているんです。

7月7日は七夕で、「クールアースデー」という七夕ライトダウンが行われます。
先日の夏至の日にも行われましたが、その2回目が七夕の夜です。
夜8時から10時まで、オフィスや施設、家庭の電気を少し落として、
地球のこと、環境のこと、そして私たちの未来のこと、ちょっと考えてみませんか?
光害に関して、もっと知ってみたいと思った方は、
国際ダークスカイ協会のウェブサイトをご覧下さい。

http://idatokyo.org/

OA曲:満天の星(まんてぃんぬふし) / 夏川りみ

<星の見どころ>

昨夜は、金星が西の空でかに座の散開星団プレセぺの中を通過しましたが、
春の星座が西の空に沈む宵の時間、この後、金星はゆっくりとしし座へと向かっていきます。
来週の木曜日、11日、日没から8時くらいまで、金星としし座の一等星レグルス、
そして細い三日月と、3つの天体が接近します。

先日のスーパームーンは、満月としては一番地球に近づいた状態でしたが、
7日(日)の月は今年、最も地球から離れたものとなります。
およそ40万6千500キロということですが、
翌日が新月なので肉眼ではほとんど見えないでしょう。
梅雨まっただ中ですが、8日が新月なので晴れればきれいな星空が期待できます。
今日、テーマにした光害について考えて、
七夕の夜に星空を眺めながら夕涼みはいかがですか?