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2019年6月28日 (金)

森雄一の週一エッセイ 第9回「ゼロ(レイ)をイチにすること」

最近、地震が多いなと感じる。それでなくても梅雨時だし、大雨に地震が重なると

土砂崩れの心配があったり。台風もこれからだよな~自然災害にうんざりするとともに、

ここは日本なのだから仕方がないと思っている自分がいる。

 

今期のNHKの大河ドラマ「いだてん」は、主にオリンピックがテーマになっていて、

宮藤官九郎さんが脚本を努めていることで話題(実際は低視聴率の方が話題に

なっていたり)のドラマだ。6月現在、関東大震災で東京が壊滅した様子が描かれて

いる。2013年の「あまちゃん」でも脚本を担当した宮藤さんは、またしてもNHKの

ドラマで震災を反映させたわけだ。

時代設定が決まっているストーリーに、日本ではほとんどの場合、震災が関係してくる。

古くは関東大震災だが、1995年の阪神淡路大震災、そして2011年の東日本大震災。

私が普段、読む小説の中でも、これらの震災が描かれるのは、むしろ自然でさえある。

 

つらい歴史は過去に置いておきたいと思う一方、そこから得るものがあるからこそ、

決して忘れず、むしろ後世に残していくべきだという機運はこれからも変わらないだろう。

先日の沖縄での「慰霊の日」。沖縄戦から74年たったが、糸満市にはひめゆりの塔が

建ち、ひめゆり平和祈念資料館もある。その資料館への入館者が減っており、子ども

たちの無関心さもあってリニューアルするというニュースがあった。祖父母が戦争を

知らない時代となり、孫世代は、展示を見てもリアルだと感じられないのだという。

同じことは自然災害にも言えるだろう。関東大震災を知っている人はどの程度いるの

だろうか。今年50歳になった私も、記憶を探ったところではっきり思い出せる自然災害は

それほど多くはない。前述した2つの震災と、雲仙普賢岳の噴火、新潟や釧路などでの

大きな地震はよく覚えている。2014年の山梨の雪害もだ。もちろん最近の熊本の地震、

広島の大雨も忘れるはずはないが、学生時代に起こったものは記憶があいまいだ。

 

海に囲まれ、自然豊かな日本だからこそ、自然との付き合い方が大切になってくる。

地中にゴミを埋めすぎたらダメ、樹木を伐採しすぎてもダメ、魚も動物も、取りすぎたら

ダメなのだ。

絶滅危惧種が確認されているのはなぜだ。土砂災害が増えているのはなぜだ。

元はと言えば、わたしたちが過去の教訓を生かしていないことが要因になっているの

かもしれない。二度と戦争を起こしてはならない。他人を巻き込む事故を起こしては

ならない。もし不可抗力でイチがゼロ(レイ)になったとしたら、みんなで力を合わせて

復興すべく前進すべし。2020東京五輪・パラリンピックは「復興」が大きなテーマに

なっている。

先の「いだてん」以外にも、関東大震災で焼け野原になった東京を、本物の写真でも

見たことがあるが、それはそれは信じられない光景だった。でも、どうだろう。時が経てば

復興というレベルではないほどのスピードを持って、東京は復活を遂げたと思っている。

阪神淡路大震災からはおよそ25年たち、都市機能は回復し、地元の人の生活も

元通りになったと言ってもいいのではないか。G20サミットが開催され、2025年には

万博が開かれる大阪。東日本大震災で被災した福島、宮城、岩手も続いてほしい。

 

時代が令和になった。天皇陛下は戦後の生まれだ。日本は、戦争のない平成を過ごし、

この令和も戦争が起こらないよう、祈り、国民として主張していく。「平」成、令「和」から

一文字ずつ取って「平和」。これは偶然ではないのかもしれない。令(レイ=0)の和は?

いくつ足しても「レイ」のままか。いや、そこで力を合わせて「イチ」にすることこそ、復興

なのであろう。

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