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2017年6月 7日 (水)

6月11日放送 第六回は 佐江衆一作『江戸の化粧師』

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『 パナホーム山梨 presents SUNSET THEATER 』

ご案内役の 小川もこ です。 

毎週、日曜日の17:30~18:00 FM FUJIにてオンエアー
サンセットタイムにお届けする この番組は、
私、小川もこ が 日本文学の名作をセレクトし 朗読させていただきます。

第六回放送は6月11日。今回 取り上げるのは、

佐江衆一 作『 江戸の化粧師(けわいし)』 です。

佐江衆一さんは、1934年1月、東京台東区生まれ。
1960年、第7回新潮同人雑誌賞を受賞。以降、計5回芥川賞候補となるなど、
様々な作品を発表しています。
1995年、老親介護を描いた「黄落」がベストセラーとなり、第5回ドゥマゴ文学賞受賞
「黄落」はテレビドラマ化、また劇団民芸、北林谷栄脚色・主演で舞台化もされました。
役者志望だった佐江さんも この舞台に出演なさっていますね。
1996年、時代小説短編集「江戸職人綺譚」第4回中山義秀文学賞受賞
アヘン戦争時代の香港の海賊を描いた「クイーンズ海流」を『週刊新潮』に1年間連載するなど、歴史時代小説にも活躍。
近年は、「昭和質店の客」や、回天特攻隊員の兄と東京大空襲で孤児となる弟の 二人の視点から描いた 書き下ろし長編小説「兄よ、蒼き海に眠れ」など、御自身の体験をもとにした 戦争小説を ライフワークにされています。
もうすぐ、書き下ろし長編小説を上梓されますので、お楽しみに!

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3z39575「江戸職人綺譚」は 文庫本にもなっています。
江戸時代の職人達の生き様が 一編一編、心に迫ってくる 傑作短編集です。


今回の作品「江戸の化粧師(けわいし)」は、「江戸職人綺譚」におさめされている短編です。
「化粧師(けわいし)」とは。
江戸時代のメイクアップアーティストとも呼べる職業のこと。
遊女の中で格の高い太夫などや、商家の内儀や娘、囲い女なども、化粧に化粧師を呼んでいたようです。

若くして、化粧師として大成功した代之吉。どこか満たされない思いを抱いていた彼が出会った おしま という女。
彼女の美しさが、存在が、やがて代之吉の運命を狂わせていきます。

究極の愛とは。男と女の愛情の違いとは...
サンセットシアター初の時代小説の世界、じっくりと お楽しみくださいね〜

あなたのご感想をお聞かせください。

メールアドレス
sunset@fmfuji.jp
で、心から お待ちしています。

日曜日の午後。17:30~18:00 FM FUJIにてオンエアー。

東京や関東近郊の皆様は78.6MHz、甲府は83.0MHzにチューニングして、
その他 全国の皆様は、LISMO WAVEや radiko.jpプレミアムでお楽しみくださいね〜♪

スマホやパソコンで聴けるアプリradiko.jpプレミアムでは、タイムフリー機能で、聴き逃しても 1週間以内なら いつでも聴くことが出来ます。

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佐江先生の作品は、何作も小川の語りの公演で語らせていただいており、
心から敬愛する作家であります。


【追記】
この回は、特に多くご感想が届きました。
一部を掲載させていただきますね。

RN:どこでも自転車さん
「江戸の化粧師」、聴き惚れました。
佐江さんの ひだの細やかな文章の美しさ、
小川さんの声の表情や色と相まって、
江戸と、官能の世界と、人間の業 この三つを旅しているようでした。
いつも、30分とは思えない、広い時空を旅させていただいています。
限られた一人の人生の持ち時間を、広げたり深めたりできる。
それが、優れた文学のちからなのだな。
時間が無いから...とスピードを上げるのではなく、
日曜の夕方、ゆっくりと文学に耳を傾けるだけでも、時間は広げることができるんだ...と、
時の記念日の翌日に、しみじみ思いました。
佐江さんの作品を、ぜひまた、小川さんの声で聴きたいです。
これからも、時空を超えた上質な旅に連れていってください。


東京都世田谷区 ウランちゃん
いつも楽しく拝聴しています。
「江戸の化粧師」一言。もこさんが色っぽかった〜!艶やかでございました。
私は時代小説というと、ついつい敬遠しがちだったのですが、
「化粧師」は、現代のメイクアップアーティスト。
その頃から、そんなハイカラなお仕事があったのね と、非常に興味深く、
他のお話も読んでみたいと思いました。
私を時代小説読者へと導いて下さった作品です。
これからも、楽しみにしています♪

RN:あっこちゃん
とても感動して、佐江衆一さんの「江戸職人綺譚」を注文してしまいました。
男女の愛し方の違いから、誤解を招き、二人は離れていく。
与之吉は自信に満ちた男なのに、とことん惚れた女 おしまを失い、
まるで魂が抜け落ちたかのように、落ちて言ったのはわからないでもない。
与之吉は おしまに母の面影を見て、
おしまは 女である喜びを与之吉から教えられ。
まるで二人は運命の人のようにも思えたけれど、
本来は出逢うべき二人ではなかったような気がしました。
それにしても、切なくて。色っぽいシーンがなんとも言えませんでした。
これからも、楽しみにしています。


RN:ハルのただ飯さん
深川という我が地元が主な舞台で、ブログの夕景の写真の寂しさとともに、化粧師の男の気持ちがイタいくらい伝わってきました。
男の初恋が、自分の母親であり、ましてや生き別れとあれば、より一層、女に母お面影を求めていたと思います。
おしまさんに母を見てしまったが故に、大切にしたいという気持ち...わかる気がします。
ロマンチストの化粧師と現実的な女性の結末ではなかったか?と思います。
江戸時代シリーズ、お願いします。
ありがとうございました。


かーやさん
ものすごーく 色っぽくてドキドキしました。


角ヨシさん
結末が予想外な展開で、切なかった〜
ちょっとエッチで、ラジオで朗読して大丈夫?なんて。
後ろで流れる音楽や効果音、虫の声が 一層 もの語りに色を添えていたと思います。
ラジオということを忘れて聴いていました。

ナマケタロウさん
どんどん引き込まれてしまいました。
与之吉のおしまの愛し方。おしまの与之吉への愛し方。究極の愛って こういうことなのか?
いろんな想いで聴いていました。
でも、最後の終わり方が とても切なくてモヤモヤでした。
以前、山梨県の「そば丸」で もこさんが語りの公演を開いた時に語った作品「昇天の刺青」も佐江衆一さんの作品でしたよね?
来週も楽しみにしています。


横浜の ミーさん
脳内は一気に江戸にタイムスリップ。
与之吉の顔を見てみたい〜!と思ってしまいました(笑)
おしまは美しく母の面影もある魅惑的な女性だったのですね。
抱かないことで純粋な愛情を持っていた与之吉だったのに、
おしまには伝わらなかった...切ないですねぇ。。。
最後、熊吉と一緒にいる与之吉に、優しいなぁと感じました。
時代小説って自分から手に取ったことがないのですが、
今回のもこさんの聴く文学の世界、これからも楽しみにしています!


フクフクフッキーさん
好きな女を抱かねば男がすたる。抱いたら安っぽい女にさせちまう。
職人としての誇りと、男としての性の葛藤に、苦しんでいる与之吉の気持ちを汲み取ったからこそ、おしまは身を引いたんでしょうね。
好きな男とけじめをつける為に。だからこそ、金を返しに現れたのではないかなぁ。


さらさん

太宰・芥川のあとに、現代物の小手鞠るいさんの作品が来て
夏目・岡本綺堂と続いた後は何だろうと思っていたところ
もこさんがお得意の江戸物ときましたか、、、!
もこさんの語りの会ではおなじみの佐江作品。
私も気がつけば佐江作品のファンになり、
「江戸職人綺譚」を購入して読んでおります。
「江戸の化粧師」は、語りの会場で聴かせていただいていますが
ラジオ番組での語りは、新鮮ですね!
音楽も細かく割り当てられていて、とっても良かったです。
(もう少し、語りだけのところがあっても良いような気も相変わらず致しますが~)
代之吉の悲哀を、今回はことさらに強く感じました。
母親の面影を追い続けたあげくに、再び捨てられる代之吉に
救いはないんでしょうか、、、
幼子の後日談に期待したくなりました。
何時の日か、そんな作品をまたお願いいたします!