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2022年10月13日 (木)

美術館

美術館はひとりで行くに限る。

自分のペースで見たり、泣いたり、歩いて止まって、

そういうことができるからだ。

自分の感じたこころを人の意見で塗り替えることをしなくていいからだ。

 

出口から出る時、私の前にいたご夫婦が話をしていた。

 

「いろんな方の素晴らしい絵があったけど、

やっぱりゴッホのは別段輝いて見えたわね。

存在感が違うもの。

まぁ私が好きだってだけなんだけど」

「そうだね」と旦那さん。

 

大きく頷いてしまった。

もう少しで声をかけちゃいそうになったけど

悩んで、ギリギリでかけなかった。

チキンな気持ちが勝っちゃったな。

 

私も同じだった。

たくさんの世界に名を残す、世界に稲妻を落とすような作品がたくさんあったはずだけど

ゴッホの作品が何よりも凄まじく感じた。

 

小さい頃は絵がなんのためにあるのかわからなかった。

好きだったけど、目の前にあるものをただ描くだけ。

授業で似顔絵を描きっこするのも、目の前の人をただ描くだけ。可愛く描けたら嬉しかった。

 

でもね、今ならわかるよ。違うんだね。

心が動いた瞬間を閉じ込めてるんだ。

 

おんがくと同じように

写真と同じように

みんなみんな、心が動いた瞬間を作品に閉じ込めている。

 

ゴッホの絵は生命力だ。

激しく、時には優しく。

「生きろ」と言われてる気分になる。

 

やさしいんだけど、厳しくて

ちょっと怖い。

 

私はそういう人に憧れるんだいつもいつも。

 

素直に、まっすぐ、自分を生きる人は

いつだって面白くて、少し怖い人だ。

真実を知っているから。

 

 

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