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2019年2月19日 (火)

2月24日放送 第九十五回は 佐江衆一 作『昇天の刺青』

Photo_2 (ぺぽーんさん撮影)
『 パナホーム山梨 presents SUNSET THEATER 』

ご案内役の 小川もこ です。

毎週、日曜日の17:30~18:00 FM FUJIにてオンエアー
サンセットタイムにお届けする この番組は、
私、小川もこ が 名作をセレクトし 朗読させていただきます。

今回 朗読するのは、佐江衆一さんが書きました『昇天の刺青(ほりもの)』です。

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佐江衆一さんは、1934年1月生まれ、東京台東区 蔵前のご出身。
85才となられた今も、現役で小説を書き続けていらっしゃいます。
1960年、第7回新潮同人雑誌賞を受賞。以降、5回にわたって芥川賞の候補になり、
1995年、老親介護を描いた「黄落(おうらく)」第5回ドゥマゴ文学賞受賞
この作品は、はテレビドラマ化、舞台化もされました。

以前に取りあげた「水あかり」と同じく、時代小説短編集「江戸職人綺譚」に収められている短編です。
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江戸時代の九つの職人の姿を描いている中で、今日の話は
女性の刺青師、つまり「入れ墨を入れる職業」ですね。

江戸時代は、入れ墨とは言わず、「ほりもの」と呼ぶことが おもであったんですね。

 父の職業を継いで、女ほりもの師となった おたえ。
父が 筋彫り、といって、線だけをほったあとを受けて、一人の男性の刺青を完成させていくわけですが。。。
この話、私は、語りの師匠である、鎌田弥恵の公演で初めて聴きまして
その、あまりにも壮絶にして美しい表現世界に魅せられてしまい、
「語り」という世界に飛び込んでいったという、小川もこにとっても、記念すべき一作です。

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文庫本でも発刊されている「江戸職人綺譚」ぜひ、読んでみてください。
 

佐江衆一さんは、85才となられた今も、執筆活動を続け、文壇で活躍する素晴らしい作家ですが、
その文章が 簡潔にして美しい。
語りの公演では、全て諳んじて憶えて語るわけですが、文章が美しいから、すぐに憶えられるのです。

まさに、声に出して読みたい日本語です。


あなたの御感想 お待ちしています。
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さらに。この番組ブログの扉のサンセット写真は いつも夕陽・夕焼け・夕景を掲載しています。
最初の頃は、無料の壁紙を貼っておりましたが、
今は、リスナーの皆さんから投稿していただいた写真を載せさせてもらっています。
あなたも、綺麗だなぁ〜というサンセット写真が撮れたら、ぜひ。

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日曜日の午後。17:30~18:00 FM FUJIにてオンエアー。

東京や関東近郊の皆様は78.6MHz、甲府は83.0MHzにチューニングして、
その他 全国の皆様は、LISMO WAVEや radiko.jpプレミアムでお楽しみくださいね〜♪

スマホやパソコンで聴けるアプリradiko.jpプレミアムでは、タイムフリー機能で、聴き逃しても 1週間以内なら いつでも聴くことが出来ます。
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【 追記 】
御感想を頂戴したので、掲載させていただきます。

RN:熊ちゃんさんから

小川もこさん
日曜の夕方 楽しみにきいてます。
昇天のほりもの 最高でした。
絵がみえて しかたありませんでした。
まるでカメラワークのように俯瞰したり、寄ったり、パンしたり、
きっと、作品自体が絵のみえるすばらしいものなのに加えて、
場面をあやつりながら いきいき演じてらっしゃるからですね。
おたえのいじらしさと強さの同居した表情が脳裏にやきついています。
なぜだろう?映像はみてないのに。。
まさにシアターでした(笑)
作業しながら聴き始めたのですが、終盤は話に集中するために手をとめてききいる迫力でした(笑)
艶とか哀しみとか 人間の業が ぎゅっと凝縮されていて
数十分の時間で とても遠いところへ時空の旅をしたような すばらしい作品でした。
私は江戸ものは、道具だてが昔のものだから、入りにくいような気がして
自分では手に取る機会が なかったのですが、
人情がかえって現代物より際立つ感じで、独特の美しい調子があって、
親切にしてさりなげない、当時の説明もあって 佐江さんの他の作品も読んでみたくなりました。
自分の目で読んでから、ラジオで小川さんの語りで聴くというのも面白いなと思います。
また、とりあげるときは ぜひ、教えてください。

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神奈川県のカドヨシさんから

いつもラジコで聞いています
今回も佐江先生の昇天の刺青聞き入りました
佐江先生って まるで江戸時代を生きてきた方のようですね
そして 彫り物師をやってこられたのではないかと 思うほど 描写がすばらしい
美しい天女や龍の姿が目に浮かびました
ただ なんの障害もなく 所帯をもってくらしていたのに どうして死ななければいけないのか・・・
ちょっと切なくもなりましたが
天高く駆け上っていく龍を昇天させるためには 最高のシチュエーションですよね
ぜひ映像で見たいです。映画化されないかなぁ
また佐江先生の語り もこさん おねがいします
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RN.25時のシンデレラさんから

佐江衆一作「昇天の彫物」、水明りに続いて心を打つ作品でした。
おたえと吉五郎が結ばれるシーンでは絡み合い睦合う九紋龍と白妙の天女が
とてもエロティックで美しくドキドキしながら聞き入ってしまいました。
ふたりの恋は燃え上がるべくして燃え上がりやがて本当の炎の中で昇天していく・・
大火の中に浮かぶ九紋龍はさぞ美しかったろう・・その姿をおたえはどんなに胸を熱く
魅入ったことだろう・・悲劇の中にあってふたりは幸せでもあったのでしょうか・・。
聞き入りながら自分の体温が上がっていくのを感じていました・・。
そして単行本をポチっと・・購入いたしました(笑)
ゆっくり今度は文字で読んでみたいと思います。

これからも楽しみに拝聴させていただきます。