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2019年2月 5日 (火)

2月10日放送 第九十三回は 太宰 治 作『お伽草紙〜瘤取り』

03_freeway (TJS Radio 新海景基さん撮影)
『 パナホーム山梨 presents SUNSET THEATER 』

ご案内役の 小川もこ です。

毎週、日曜日の17:30~18:00 FM FUJIにてオンエアー
サンセットタイムにお届けする この番組は、
私、小川もこ が 名作をセレクトし 朗読させていただきます。

今回 朗読するのは、太宰 治が書きました『お伽草紙』から『瘤取り』です。
1945年(昭和20年)10月25日、筑摩書房より刊行された短編小説集が「お伽草紙」D103d856s

「お伽草紙」の序文には 次のような記述があります。

「仕事をやめて、五歳の女の子に防空頭巾をかぶせ、これを抱きかかへて防空壕にはひる。
女の子が、もう壕から出ませう、と主張しはじめる。これをなだめる唯一の手段は絵本だ。
桃太郎、カチカチ山、舌切雀、瘤取り、浦島さんなど、父は子供に読んで聞かせる。
 この父は服装もまづしく、容貌も愚なるに似てゐるが、しかし、元来 ただものでないのである。
物語を創作するといふまことに奇異なる術を体得してゐる男なのだ。
 ムカシ ムカシノオ話ヨ
などと、の抜けたやうな妙な声で絵本を読んでやりながらも、
その胸中には、またおのづから別個の物語が...」

つまり、この「お伽草紙」に取りあげた昔話は、
太宰が防空壕の中で我が子におとぎ話を読んであげながら、
別のシチュエーションを夢想していったというもの。
実際に、各地で罹災しながら書き続けられ、同時に出版の作業も進められていきました。

困難な戦争期に、時代への抵抗の姿勢を示していた太宰。
古典や民話に取材したものを収めている、この「お伽草紙」は、
誰もが知っている昔話の、ユーモラスな口調を生かしながら、
そこに、人間宿命の深淵をかいま見させているのが、いかにも太宰たるところです。

ここで朗読する「瘤取り」に始まって、「浦島さん」「カチカチ山」「舌切り雀」
の四編を取りあげていますが、あなたは、「こぶとりじいさん」のお話、憶えていますか?

Monogatari_kobutori_jiisan

元来、こぶを取られた爺さんは、良い爺さんで、
後から行って こぶを もう一つ付けられてしまった爺さんは 悪い爺さん。
といったイメージがあるかと思いますが、太宰が創造した「瘤取り」では、
こぶをとられた爺さんは、”酒呑み”という設定。

家庭内で理解を得られず、酒呑みというものは孤独なものである。というくだりなど、

たぶんに・・・太宰治 自身が投影sign01されています。

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