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2019年2月

2019年2月26日 (火)

3月3日放送 第九十六回は 小川未明 作「赤い蝋燭と人魚」

Photo (いるまだむさん撮影)
『 パナホーム山梨 presents SUNSET THEATER 』

ご案内役の 小川もこ です。

毎週、日曜日の17:30~18:00 FM FUJIにてオンエアー
サンセットタイムにお届けする この番組は、
私、小川もこ が 名作をセレクトし 朗読させていただきます。

今回 朗読するのは、小川未明 作『赤い蝋燭と人魚』です。
240pxogawa_mimei 小川未明は、新潟県高田、現在の上越市に1882年(明治15年)に生まれた
作家であり児童文学作家です。
本名 小川 健作(おがわ けんさく)。
日本のアンデルセン」「日本児童文学の父と呼ばれた人物です。
早稲田大学の前身である、東京専門学校専門部哲学科を経て大学部英文科を卒業、
坪内逍遙や島村抱月、またラフカディオ・ハーンの教えを受け、在学中の1904年(明治37年)、
処女作「漂浪児」を雑誌『新小説』に発表し注目されました。

1926年(大正15年)、東京日日新聞に、今後、童話作家に専念することを
発表し、数々の童話を書いていきます。
1946年(昭和21年)に日本児童文学者協会の初代会長を務め、
脳出血のため東京都杉並区高円寺の自宅で亡くなりました。79歳ででした。

短編に才能を発揮し、童話の代表作としては「金の輪」、「赤い蝋燭と人魚」「月夜と眼鏡」「野薔薇」などがあります。
今日、お届けする「赤い蝋燭と人魚」は1921年(大正10年、2月16日から20日まで、
「東京朝日新聞」に連載された作品で、小川未明の出世作となりました。
未明のふるさとである、新潟県上越市大潟区の雁子浜(がんごはま)に伝わる人魚伝説から得た発想を
元にしたと言われています。

ある北の海に住んでいた女の人魚は、人間が優しい心を持っていて、街は楽しい所だと聞いたので、
暗い海ではなく、丘で、子供を産み落とし、人間に我が子を育ててもらおうと心にきめます。
人魚の捨て子は、神社のそばの、ろうそく屋の老夫婦に拾われたのですが、
さて、この子の行く末は・・・




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東京や関東近郊の皆様は78.6MHz、甲府は83.0MHzにチューニングして、
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_____________
【 追記 】

御感想をいただきましたので、掲載させていただきます。

山梨県のローズマリーさんから
もこさん、いつもボリュームあげて聞いています。
先週のあかい蝋燭と人魚のお話、小学生の時に読みました。
当時、ただかわいい赤い蝋燭が欲しいと思ってました。
大人になって赤い蝋燭を見つけた時、この作品を思い出すと共に、なぜだかちょっと怖いと思いました。

RN.25時のシンデレラさんから
美しい言葉と物語・・日本文学のすばらしさを改めて感じております。
今週の「赤い蝋燭と人魚」は何十年ぶりに耳にしたことでしょう・・
子どもの頃この物語を読んで何度も泣いたことを思い出しました。

おっしゃる通り母親の他人任せな考えで・・そりゃいくら良かれと思ったとしても
子どもの幸せを人間に任せ・・結局何の罪もない人魚の子も親を知らぬまま
自分の姿が人間でない引け目を感じ、育ての親に恩を感じ尽くし・・愛されようと
頑張って生きた挙句に人間の欲というエゴに売られていってしまう・・なんて。
なんという悲しい物語なんでしょう。
娘の人生がけして幸せでなかった事実に母は後悔という罰を受けたのですね・・。

2019年2月19日 (火)

2月24日放送 第九十五回は 佐江衆一 作『昇天の刺青』

Photo_2 (ぺぽーんさん撮影)
『 パナホーム山梨 presents SUNSET THEATER 』

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今回 朗読するのは、佐江衆一さんが書きました『昇天の刺青(ほりもの)』です。

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佐江衆一さんは、1934年1月生まれ、東京台東区 蔵前のご出身。
85才となられた今も、現役で小説を書き続けていらっしゃいます。
1960年、第7回新潮同人雑誌賞を受賞。以降、5回にわたって芥川賞の候補になり、
1995年、老親介護を描いた「黄落(おうらく)」第5回ドゥマゴ文学賞受賞
この作品は、はテレビドラマ化、舞台化もされました。

以前に取りあげた「水あかり」と同じく、時代小説短編集「江戸職人綺譚」に収められている短編です。
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江戸時代の九つの職人の姿を描いている中で、今日の話は
女性の刺青師、つまり「入れ墨を入れる職業」ですね。

江戸時代は、入れ墨とは言わず、「ほりもの」と呼ぶことが おもであったんですね。

 父の職業を継いで、女ほりもの師となった おたえ。
父が 筋彫り、といって、線だけをほったあとを受けて、一人の男性の刺青を完成させていくわけですが。。。
この話、私は、語りの師匠である、鎌田弥恵の公演で初めて聴きまして
その、あまりにも壮絶にして美しい表現世界に魅せられてしまい、
「語り」という世界に飛び込んでいったという、小川もこにとっても、記念すべき一作です。

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文庫本でも発刊されている「江戸職人綺譚」ぜひ、読んでみてください。
 

佐江衆一さんは、85才となられた今も、執筆活動を続け、文壇で活躍する素晴らしい作家ですが、
その文章が 簡潔にして美しい。
語りの公演では、全て諳んじて憶えて語るわけですが、文章が美しいから、すぐに憶えられるのです。

まさに、声に出して読みたい日本語です。


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【 追記 】
御感想を頂戴したので、掲載させていただきます。

RN:熊ちゃんさんから

小川もこさん
日曜の夕方 楽しみにきいてます。
昇天のほりもの 最高でした。
絵がみえて しかたありませんでした。
まるでカメラワークのように俯瞰したり、寄ったり、パンしたり、
きっと、作品自体が絵のみえるすばらしいものなのに加えて、
場面をあやつりながら いきいき演じてらっしゃるからですね。
おたえのいじらしさと強さの同居した表情が脳裏にやきついています。
なぜだろう?映像はみてないのに。。
まさにシアターでした(笑)
作業しながら聴き始めたのですが、終盤は話に集中するために手をとめてききいる迫力でした(笑)
艶とか哀しみとか 人間の業が ぎゅっと凝縮されていて
数十分の時間で とても遠いところへ時空の旅をしたような すばらしい作品でした。
私は江戸ものは、道具だてが昔のものだから、入りにくいような気がして
自分では手に取る機会が なかったのですが、
人情がかえって現代物より際立つ感じで、独特の美しい調子があって、
親切にしてさりなげない、当時の説明もあって 佐江さんの他の作品も読んでみたくなりました。
自分の目で読んでから、ラジオで小川さんの語りで聴くというのも面白いなと思います。
また、とりあげるときは ぜひ、教えてください。

_________

神奈川県のカドヨシさんから

いつもラジコで聞いています
今回も佐江先生の昇天の刺青聞き入りました
佐江先生って まるで江戸時代を生きてきた方のようですね
そして 彫り物師をやってこられたのではないかと 思うほど 描写がすばらしい
美しい天女や龍の姿が目に浮かびました
ただ なんの障害もなく 所帯をもってくらしていたのに どうして死ななければいけないのか・・・
ちょっと切なくもなりましたが
天高く駆け上っていく龍を昇天させるためには 最高のシチュエーションですよね
ぜひ映像で見たいです。映画化されないかなぁ
また佐江先生の語り もこさん おねがいします
___________

RN.25時のシンデレラさんから

佐江衆一作「昇天の彫物」、水明りに続いて心を打つ作品でした。
おたえと吉五郎が結ばれるシーンでは絡み合い睦合う九紋龍と白妙の天女が
とてもエロティックで美しくドキドキしながら聞き入ってしまいました。
ふたりの恋は燃え上がるべくして燃え上がりやがて本当の炎の中で昇天していく・・
大火の中に浮かぶ九紋龍はさぞ美しかったろう・・その姿をおたえはどんなに胸を熱く
魅入ったことだろう・・悲劇の中にあってふたりは幸せでもあったのでしょうか・・。
聞き入りながら自分の体温が上がっていくのを感じていました・・。
そして単行本をポチっと・・購入いたしました(笑)
ゆっくり今度は文字で読んでみたいと思います。

これからも楽しみに拝聴させていただきます。

2019年2月12日 (火)

2月17日放送 第九十四回は 太宰 治 作『新釈諸国噺〜破産』

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(TJS Radio 新海景基さん撮影)
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今回 朗読するのは、太宰 治が書きました『新釈諸国噺』から『破産』です。

「新釈諸国噺」は、1945(昭和20)年1月27日、生活社より刊行されました。M77138492355_1 太宰が「世界で一ばん偉い作家」と惚れこむ井原西鶴の作品を、自由奔放に換骨奪胎。
親しみやすい語り口に、諷刺とおどけをしのばせ、天性の喜劇作家ともいえる太宰が、おなじみの説話の世界をユーモアいっぱいに描いています。
終戦前、太宰の著書のなかで一番売れていたと言われています。

以前に、このサンセット・シアターでも、この中から「貧の意地」をお届けしていますね。

物語の舞台も、蝦夷、奥州、関東、関西、中国、四国と多岐にわたっていて、
12編の短編から構成される短編集ですが、
今日は、美作(みまさか)、今の岡山県東北部の噺で、西鶴が四十七歳の時に書いた「日本永代蔵」の中の1エピソードをアレンジした作品、「破産」をお届けします。

「日本永代蔵」は、江戸時代のビジネス指南書とも言える話が詰まっていますが、
ここでは、莫大な資産を持った「万屋(よろずや)」が傾く過程が面白い。

太宰という人は・・・つくづく人間観察、また、人の悲喜こもごもを描くのに長けているなぁと
思うのであります。

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2019年2月 5日 (火)

2月10日放送 第九十三回は 太宰 治 作『お伽草紙〜瘤取り』

03_freeway (TJS Radio 新海景基さん撮影)
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今回 朗読するのは、太宰 治が書きました『お伽草紙』から『瘤取り』です。
1945年(昭和20年)10月25日、筑摩書房より刊行された短編小説集が「お伽草紙」D103d856s

「お伽草紙」の序文には 次のような記述があります。

「仕事をやめて、五歳の女の子に防空頭巾をかぶせ、これを抱きかかへて防空壕にはひる。
女の子が、もう壕から出ませう、と主張しはじめる。これをなだめる唯一の手段は絵本だ。
桃太郎、カチカチ山、舌切雀、瘤取り、浦島さんなど、父は子供に読んで聞かせる。
 この父は服装もまづしく、容貌も愚なるに似てゐるが、しかし、元来 ただものでないのである。
物語を創作するといふまことに奇異なる術を体得してゐる男なのだ。
 ムカシ ムカシノオ話ヨ
などと、の抜けたやうな妙な声で絵本を読んでやりながらも、
その胸中には、またおのづから別個の物語が...」

つまり、この「お伽草紙」に取りあげた昔話は、
太宰が防空壕の中で我が子におとぎ話を読んであげながら、
別のシチュエーションを夢想していったというもの。
実際に、各地で罹災しながら書き続けられ、同時に出版の作業も進められていきました。

困難な戦争期に、時代への抵抗の姿勢を示していた太宰。
古典や民話に取材したものを収めている、この「お伽草紙」は、
誰もが知っている昔話の、ユーモラスな口調を生かしながら、
そこに、人間宿命の深淵をかいま見させているのが、いかにも太宰たるところです。

ここで朗読する「瘤取り」に始まって、「浦島さん」「カチカチ山」「舌切り雀」
の四編を取りあげていますが、あなたは、「こぶとりじいさん」のお話、憶えていますか?

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元来、こぶを取られた爺さんは、良い爺さんで、
後から行って こぶを もう一つ付けられてしまった爺さんは 悪い爺さん。
といったイメージがあるかと思いますが、太宰が創造した「瘤取り」では、
こぶをとられた爺さんは、”酒呑み”という設定。

家庭内で理解を得られず、酒呑みというものは孤独なものである。というくだりなど、

たぶんに・・・太宰治 自身が投影sign01されています。

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